《思い出しなさい、善女竜王。
あなた自身の記憶を》
やめて……。
《あなたは、御津忠信のために龍神剣を産んだ》
玉藻の声が、脳から封じられた記憶を引きずり出そうとする。
私は必死に抵抗した。
けど、腕は離れないし、身体に力が入らない。
玉藻の言うことが真実だと、自分の中で他の誰かが、理解しているみたいで……。
《忠信は、空亡様を封印した後、あなたの胸に龍神剣を突き立てた。
あなたを封印するために》
「いや……っ」
胸が、引き裂かれる痛みに襲われる。
思わずかきむしると、玉藻はその片手も封じ、さらに続けた。
《最初から、忠信はあなたを利用する気だったのよ。
あなたに甘い夢を見せておいて、裏切った》
「やめて……!」
《龍神剣が欲しいがために》
「やめて、もう、やめて!」
《あなたを愛していると、嘘をついたのよ》
「やめてぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」



