右手に剣を、左手に君を



切っ先が迦楼羅の鼻に触れるか触れないかのところで……。



「はあっ!!」



ギイン!!


迦楼羅の声と同時に、衝撃が剣を伝わってきた。


気づいた時にはもう遅く……。



「!!!」

「コウくん!!」

「恒一!!」



俺は剣ごと、すさまじい力でなぎ払われた。


受身を取る暇もなく。


舞台から反対側の壁まで、吹き飛ばされた。


ドゴオッ!!



「ぐ、あ……っ!!」



背中に、とんでもない痛みを感じて。


遠くなる意識の中、それでも何とか床に落下せず、着地する。


足が床に付いた途端、肋骨に嫌な痛みが走った。


一緒に崩れ落ちた壁の欠片に傷つけられたのか、そこかしこから血が出ている。



「わー、今のはすごかったわね。

迦楼羅、やばかったんじゃない?」



やばかったというわりには、玉藻は余裕のある顔で言った。



「お主、三剣士の中では一番の使い手ではないか。

その力、この前は隠していたな」


「……余裕がなかったんだよ……」



迦楼羅の声には、まだ余裕がある。


俺は何とか立ち上がったが、今の攻撃で霊力を大幅に消費してしまったせいか、

膝が言うことを聞かず、身体全体が重い。


口の中を切ったせいで溜まった血を、吐き出した。



「可哀想に……痛いでしょう?

迦楼羅、手助けするから早く楽にしてあげなさいよ」


玉藻が一歩、前に出た。


その時……。