右手に剣を、左手に君を



「草薙剣!」

「十束剣!」



俺達は同時に、左手から神剣を呼び出した。



「……先日と、なんら変わらぬな。

すぐ楽にしてやろう」



迦楼羅は笛を取り出す。


あれで火炎地獄を起こされたら、一気に命が危ない。


その前に、攻撃しなければ!



「恒一!」



雅の声が響く。


それが耳に届くより先に、俺は駆けだしていた。


長期戦になればなるほど、こちらが不利だ。


俺は自分の霊力を、草薙剣に注ぎ込む。



「行くぞ!!」



思い切り、床を蹴る。


その跳躍で、迦楼羅の目前に出た。


遠くの空で、雷鳴が轟(トドロ)く。


相手の赤い目が見開かれるのと同時に──。


剣を、ふりおろす!!



「うおおおおおおおっ!!」



ドガアアアアアアッ!!!!


天から俺達の周りに、何本もの雷(イカヅチ)が突き立てられる!!


しかし……。



「く……っ」

「く、そ……っ!」



その衝撃を受けながら、迦楼羅は横笛で俺の剣を受け止めていた。


得物どうしが衝突し、ギリギリと嫌な音を立てる。