右手に剣を、左手に君を



「目的?」



玉藻が聞き返す。



「昨日、教室で生徒の魂を奪っただろう。

一体何のためにあんなことをする。

やはり、空亡のためか」



自分の主人を呼び捨てにされ、迦楼羅が眉間にシワを寄せた。



「そうよ。空亡様の完全復活には、膨大なエネルギーが必要なの」


「玉藻」


「いいじゃない、迦楼羅。

どうせこの子達、殺しちゃうんでしょ?」


「それはそうだが、あの娘はもう少し生かしておかなければならない」


「ふえっ?」



突然指をさされ、渚は肩を震わせた。


玉藻が、いまいましげに渚をにらむ。



「めんどくさ……でも最終的には殺すんでしょ?」


「それはそうだが」


「じゃあ、一緒じゃない」



俺と雅は、それぞれ背中で渚を守る。


俺は玉藻に、雅は迦楼羅に向かい合っていた。


渚はその間で、オロオロしている。



「じゃあ、人間の魂を集め、空亡に捧げる。

空亡は、そのエネルギーを糧にして、完全復活を狙っている。

そういうことか」



俺が言うと、玉藻が笑いながら。



「やっとわかったの。おばかさんね」



と、答えた。


怒りが、腹の中にたまっていく。


どうして、人間の魂……命を、妖に好き勝手にされねばならないんだ。