右手に剣を、左手に君を



健太郎の霊力の跡をを探る。


それは、廊下を通り、体育館の方へ向かっていた。


俺達はそこへ走る。


しかし体育館へたどり着いた俺達を待っていたのは、異常な静けさだった。



「部活……どこもやってないのか?」



体育館はいつも、バスケ部やバレー部が使っているはず。


なのに、中からは何の物音もしなかった。



「それだけじゃない。これは……」


「結界」



雅の声に、渚が答える。



「結界?」



結界とは、術者が作る、見えないバリアみたいなもの。


普通、自分の陣地に敵を入りこませないために使う。



「まさか、何で学校に結界が?

妖が入り込んでるとでも言うのか?」



冷たい汗が、背中を一筋流れていく。



「可能性は無いとは言えない。

現に、この前一人やられたじゃないか」


「そうだった」


「あの、議論も結構だけど、健ちゃんは……」



渚が男二人に割って入る。