「──…っ」
何か、とてつもなく大きな、不可抗力的な力に吸い込まれる感覚がして、四季は不安定な空間に投げ出された。
何処かに着地した感があった。目を開けてみる。
高い天井が見えた。宮廷といった雰囲気の内装。
でも見たことがあるような気がする。何処でだろう?
身を起こすと、ひとりの少女が歩み寄ってきた。
「大丈夫ですか?」
「うん…。平気」
「あら…?あなたは」
少女はまじまじと四季の顔を見つめ、問いかけてきた。
「綾川由貴さん──ではないですね。似ているけれど」
初対面の少女の口から由貴の名が出てくることに、四季は目をまるくする。
「由貴のこと知っているの?」
「ええ。由貴さんの血縁関係者ですか?」
「僕は綾川四季。従兄です。…ここは?」
「ここは、本来あなたがいるべき世界ではありません。次元を超えて来てしまったのですね。由貴さんは小説を書いているのですが、そのことはご存知ですか?」
「知っています。僕が絵を描いたから」
「そうですか。それなら会われた方が話は早いわ。あちらに座っている方々はあなたはよくご存知では?」
シェネアムーンの示した方角には、金髪の少年と銀髪の少女がいた。
「ユニス…。イレーネ」
由貴の書いた物語に出てきた王子と少女騎士だった。
四季の呟きに、ユニスとイレーネが四季の方を見た。ユニスがシェネアムーンに尋ねる。
「シェネアムーン、私たちがその方の近くに行っても時空に差し障りはありませんか?」
「ええ。大丈夫だと思います」
ユニスとイレーネはそこで初めて四季の方に歩み寄って来て、かがみこんだ。
「初めまして。ユニス・セレクヴィーネです。お話は時空管理人であるシェネアムーンからうかがいました。こちらの世界とあなたのいる世界との間に歪みが生じていると。あなたがここにいるということは、本当のことなのですね」

