「今のは本当に起こっていること?」
由貴はイレーネとユニスのいたところを見つめたまま、忍に尋ねた。
忍は肯定する。
「ぼくはこちらでもなく、あちらでもない世界の者。こちらとあちらを繋いでいる。こちらでぼくと繋がっているのが揺葉忍。あちらでぼくと繋がっているのがイレーネ・スフィルウィング。由貴と話していると、あちらのことが見えるようになった。でもまだあちらには繋がってはいない。四季に会っていないから」
「揺葉忍と繋がっているって…?」
「ぼくの意識が。信じられない?今ぼくが聞いた声は忍にも聴こえたはず。でも忍はユニスとイレーネを見たことはないから、ふたりの姿は見えなかったはず」
「会長…」
涼が由貴を気遣うように声をかける。
「四季くんと忍ちゃんに確認してみた方がいいと思う。ここにいる忍ちゃんの言っていることの全部が非現実的な話だとは思えない」
フェロウが助言した。
「ここにいる揺葉忍は、本来同じ次元になってはいけないもの──『こちら』と『あちら』の時空を混乱させないために、遣わされてきた。このことが起こるまではこの揺葉忍はいなかったんだよ。いたずらに誰かが造り出したわけじゃない。信じるか信じないかは任せるが」
「遣わされるって、何処から…?」
「そいつは俺にもわからん。理論では説明つかないことが世界にはあるってことさ」
──由貴は再び携帯を開くと四季の番号にかけた。
何回目かの呼び出しで、四季が携帯に出る。
『ああ、由貴?どうしたの』
「──四季、忍と一緒にいるんだよね?」
『うん。さっきから忍がどうかしたの?』
「忍、気分悪そうにしてなかった?何か声が聴こえるとか」
四季が一瞬言葉を失い、聞き返した。
『どうしてそれ、由貴が知ってるの?』

