不思議電波塔




 通話を終えた由貴を見て、もうひとりの揺葉忍は訊いた。

「今のが四季?」

「ああ──うん」

「データ一致。承認。ぼくは四季を探す」

「え?ちょっと待って」

 由貴が引き止めようと手を伸ばすと、バチッと静電気のようなものに弾かれた。

「……っ」

「ぼくに近づかない方がいい」

 由貴は平常心を保ったまま告げた。

「四季に近づくのはやめた方がいい。揺葉忍がふたりもいると四季も忍も混乱する」

「揺葉忍がふたり?」

「そう。君もそれは知らないの?」

「知らない」

 表情こそ無表情だったが揺葉忍は素直だった。由貴に向き直り、聞く姿勢になる。

 由貴はほっとして話し始める。

「俺の友達に君とまったく同じ名前で揺葉忍という子がいる。容姿も君とまったく同じ。忍は四季の彼女で、ついさっき電話がかかってきた時も、忍は四季と一緒にいるみたいだった。君は何処から来たの?四季に会わなければならない理由は何?」

「理由はわからない」

 揺葉忍の表情は意外にも澄んでいた。無垢という方が正しいか。

「ぼくには任務がある。四季に会えばわかる。そういうふうになっている」

「──任務、ね…。君の言い分はわかった。でもそのまま会いに行けば、四季たち混乱するよ。俺と涼だって、君を見て忍本人なのかと思ったくらいだし」