「次元を混乱させるって…どうやって?」
シェネアムーンは小説の書かれたノートに目を向けた。
「『それ』がそうです」
「──」
「そういう者たちは、まったく断りもなく、尋常ではないやり方で介入してくるものです。そういう者の意図はさておき、私は時空に歪みを作ってまで介入してくる遣り口は人の『傲慢』と見なします。そのようなことが罷り通ってしまえば、どのような卑劣な手口を使っても赦されるということになってしまう」
「そうだね。…でも、実際にこういうことが普通に俺の身の回りに起こっているということは、何処にでも派生しうることであるのかもしれないけど」
「あなたには許容の範囲だと?」
「いや」
こういうことを許すというのは己の命を煮るなり焼くなり好きにしろと無法者に丸投げしていることと同じくらいにバカな話であると由貴は感じた。
「こういうことをされて黙っているのは、生きる権利を放棄していることと同じだと思う」
シェネアムーンの表情にほっとした光が浮かんだ。
「良かった。このようなことが起こった時、命を差し出すほどの度量もなければ、戦いに出る潔さもなく、混沌の中に紛れてゆく者、その中でひっそり死んでゆく者は多いのです」

