塔の上は雲が広がっていた。 雲の上に降り立つ。 「僕を倒して行けばハロンの綻びは浄化されるよ」 尾形晴だ。 由貴は晴を見詰める。 今まで、こんなふうに対峙してきた、同い年の人間がいただろうか? 嫌がらせにしか思えない晴の遣り口は信じられないほどに露骨で厚顔無恥だった。 「……」 由貴は晴を見つめたまま言葉を発さない。怒りも何も、飲まされた煮え湯すらも通り過ぎるくらいに、頭の芯が冷んやりと冴え渡っていた。 氷の炎にでもなったような感じだ。