私が父親似の黒髪なのに対して、桜は母親似の茶髪。

しかも顔まで正反対で、桜は可愛い系なのに、私はクールビューティー。

…と言っても、ホントのクールビューティーとは月とスッポンくらいの違いはあるけど…

二人でいても、「双子」っていうとすごく驚かれる。

それくらい正反対。

…唯一、身長だけが一緒。

だけど、スタイルはやっぱり正反対…

もちろん性格も正反対で…


そんな桜と一緒に家に向かって歩き出す。

…ホントは一緒に歩きたくないのよ。

だって…桜は美人だから、一緒にいると比べられるんだもん。

だからといって、仲が悪いわけじゃないんだよね。

一緒に暮らしてるし…

だけどね…


「コンプレックス感じるんだよ…」

「…何ブツブツ言ってるの?今日の夕飯、いっちゃんの当番だよね?」


…忘れてた!

おじさんの店がなくなって、美味しいコーヒーのことばっかり考えてたから、すっかり忘れてたよ…


「桜は何が食べたい?」

「うーん…パスタ…かな?」

「じゃあ、今日はなすとトマトのパスタにしようか」

「オッケー…って、ちょっとごめん。」


桜の携帯が鳴ってる。

これは…もしかすると…


「ごめん!!急に呼び出しかかっちゃった…」


やっぱり…

桜には2年付き合ってる彼氏がいる。

仕事が忙しいらしく、なかなか会えないって言ってたけど、こうやって急に呼び出しがかかる。

…ということで、今日のパスタは中止だね。


「行っておいで。パスタはまた今度作るから」

「ごめん!!ホント、ごめんね!」


そう言って走り出した桜の後姿を見送る私って…


「はー…彼氏、欲しいな…」


前の彼氏とは1年前に別れちゃった。

入学とほぼ同時に告白されて付き合ったけど、3か月後には振られちゃったんだよね。

「なんか違う…」っていう、訳わかんない理由で…