「わわっ、始まったよ!」 ふわりと上空を見上げる梨々。 俺は現実に引き戻されたようにハッとした。しかし… (なんだってこんなに) 高鳴りが止まることを知らない。頬に上がってくる熱が下がらない。 「キレイだね、耀くん!」 バッチリ目が合う。思わず手の甲で表情を隠してしまった。 (っそ、止まんない…) 「ね!」と同意を求める彼女の、にへらとした笑顔に。 「…ああ」 俺は敵うはずがなくて、つられて笑った。もちろん、こころからの笑顔で。