「なんなんだよ……お前は」


つうっと一筋だけ涙が伝った。


「今までしてきたこと肯定されたわけじゃないのにこんなにスッキリするし、っとお前は…」


ごしごしと頬を拭くと彼女は「明日」と言った。明日、は夏祭り…


「ケントくんから聞いたの。行くんでしょ?」

「え、まぁ、あぁ」


あやふやな俺の答えが不満だったのか怪訝な顔をしたあと、普段の通りにへっと笑った。


「じゃあたしも付いてく」

「え」

「約束しよ!5時半にここに集合ね、一緒行こ」


有無を言わせずに小指を出す橘さん。そして俺の小指も持たされ、からめられる。これはまさか。


「指切った!」


こどもっぽくて恥ずかしいという感情があるのかないのか。そのまま「じゃあね!」と駆け出して行った。


「……なんだよそれ」


買ったアイスはきっと溶けてしまっている。でも、そんなことはどうでも良かった。