――ジリリリリ ジリリ……
思いきり止めた目覚まし時計は、勢いよく転がり床に落ちていった。
――ガシャン
落ちた音で目をさました俺。
毎日の光景。
俺は眠い目を擦りながら、ゆっくり周りを見渡す。
何も変わって居ない部屋。
ゆっくりと布団から這い出して、自分の姿を鏡に映してみるが、やはり何も変わって居なかった。
いや、ある意味変わって居たのか。
土で汚れていたパジャマは元に戻り、血が付いた掌は寝る前の綺麗な状態になって居たのだ。
何故?
やはり、全てが夢だったのか……
そうだ、きっと悪夢だったのだ。
そう信じたかったのだろう。
少しずつ冴えてきた頭にそうインプットさせ、ご飯を食べに居間に向かった。