「かずくん!!今日、暇?」
彼女は噂の加奈。
加奈には、かずくんと呼ばれているんだ。
俺は学級委員の為、先生に用事が有って職員室に向かう途中だった。
「うん、暇だけどどうしたの?」
歩きながら話す俺。
歩調を合わせながら、俺の横を歩く加奈。
加奈はもじもじした様子で、俺の耳元で話してきた。
「じゃあ、遊ぼう…2人だけで」
2人だけで?!
「いいけど…」
俺の返事を聞くや否や、嬉しそうに顔をほころばせている加奈。
やっぱり可愛いな。
「他の男子には内緒だよ~~」
そう言ってウインクをすると、加奈は俺の元から手を振りながら走り去っていった。
サラサラと揺れる髪の毛。
俺は加奈の後姿を見ながら、ドクンと心臓が脈打つ感覚を覚えた。
それはてっきり、加奈への恋心だと思っていたのだが……
後になって、それが違うものだと知ってしまった。