加奈の時の不思議な体験を思い出したものの、あれから別段変わった事も無かった。
大丈夫だろう――
「うん、僕も好きだよ。付き合おう」
そんな返事が、後々後悔を生むならば……
真由美ちゃんの命が消えてしまうならば、きっと今『ごめん』と断っていたに違いない。
ニッコリ笑いながら答えた俺を、信じらんないという顔で見つめてきた真由美ちゃんは
「嬉しい」
そう言って、俺の腕に真由美ちゃんの細い腕を絡ませてきた。
なにせ、今居る場所は土管である。
いくら離そうとしたって、かえって寄りかかってくる体制になってしまう。
近い顔。
真っ赤な真由美ちゃんは、潤んだ瞳を俺に向けていた。
その時
―――ドクン
心臓が1つ大きく鳴り、呼吸がくるしくなった。
ふわふわと雲の上に居るように意識が朦朧として、自分が自分じゃなくなっていくような感覚。
なんだ、この感じ。
前も有ったような……ああ、加奈の時の気分だ。
すり寄る真由美ちゃんの頬を触り、その手をゆっくり下に移動させていった。
ヤバい……
ごめん、真由美ちゃん!!!体が言う事をきかないんだ…