「かずくん…あの……う―んとね」
「どうしたの、真由美ちゃん?」
かくれんぼをしている最中、公園の隅っこにある狭い土管の様な遊具の中に隠れていた俺と真由美ちゃん。
俺の隣で丸めた体を、より小さくしながら話しかけてくる。
もじもじしながら、顔を真っ赤にさせている真由美ちゃんは、驚くほど可愛かった。
「かずくん…の事…好きなの。付き合ってください」
「真由美ちゃん……」
こんなに可愛い真由美ちゃんに告白されて、断る理由が有るのだろうか?
しかし、俺の脳裏には加奈の顔が思い浮かんだ。
そう、加奈の最後の姿が……
結局、加奈の両親は捜索願いを出し、警察も学校も加奈の行方を探した。
もちろん、親達には通り魔等の注意書きが書かれたプリントも配布され、俺は加奈の死体が見つかるのも時間の問題かと思っていたのだ。
しかし、俺の予想とは裏腹に加奈の死体は見つからず、その時ちょうどパトロール中の警察官に捕まった通り魔に容疑がかかった。
彼は容疑を否定していたらしいが、結局逮捕され今は服役中らしいとお母さんが言っていたな。
それにしても、加奈の死体は何故見つからなかったのだろうか?
まぁ、秋だったから落ち葉にでも埋もれたのだろう。
しかし、結局あれ以降彼女を作る気にならなくて、俺は加奈の事も忘れかけていたのだ。