君の声がききたい

「ハルちゃんはさ…沙和といつからの付き合いなんだっけ?」

「小学生の時だよ。私が小2の時、近所に沙和たちが引っ越してきて…お互いの親が仲良くなったのがキッカケでさ。よく沙和がうちに遊びに来てたんだよ」

「へー」

「当時は沙和の耳…左だけは正常に聞こえてたんだよね」

「あ、そうなの…?」


初めて知った。




「そう。生まれつき右耳だけ聞こえなかったみたいなんだけど…左は正常だったの。だから私の言葉も聞き取れたし、会話もできたんだよ」

「…そうなんだ」


沙和の声・・

聞きてみたいな……




「でも…沙和が小4の時にね・・沙和のお母さんが亡くなったんだよ。」




「もともと沙和のお父さんは、離婚していなかったから、沙和は母子家庭だったんだよね。うちも母子家庭だったからさ…沙和んちとは仲良かったんだけど………」

「・・・・」

「沙和のお母さん、急なガンで亡くなったんだ。うちのお母さんも…かなりショック受けてたよ」

「………」

「でも一番ショックだったのは、沙和と沙和のお姉ちゃんだよね。一番の肉親を亡くすなんて・・ショックに決まってるよ」

「…だな」

「その半年後くらいだったかな…沙和の左耳が聞こえなくなったの・・・」




ハルちゃんは続ける。




「お母さんのこと…相当堪えたのかな…?突然沙和の左耳がおかしくなって・・ついには聞こえなかったの。」

「…………」

「学校も今まで普通クラスにいたのに…沙和は特別クラスに移動になっちゃってさ。馴染むの大変そうだったよ」