「あ――…どうすっかな…」

「行こうよ!おごるから〜」


俺の腕に絡みついてくる女。

後ろから「奏――!ちょっと来てっ!」と、恵里佳が俺を呼ぶ。




毎日、それなりに楽しい…


好き勝手やってるから、

別にストレスたまらないし。





「奏!今日“行く”よね?」

「あー…」

「奏!!こっち来てってばっっ」

「・・・(汗)」



……ちょっとめんどくさいことはあるけど(汗)


ま。

人生こんなもんなんだと思う。





さっき…大学であったあの聴覚障害者の子が・・


なぜかずっと引っかかっている…


あんなふうに…

なんの計算も、ぶりっこもないように笑う女がいるんだ……






これが俺たちの出会い…



あの日、

あの場所で…

あのタイミングで

お前が携帯を落としたこと…





その偶然を

俺は本当に感謝している…



これが全て始まりだった。