君の声がききたい

沙和の代わりに、俺が答えた。




「…ああ‥沙和ちゃんね!じゃあ、これからよろしく沙和ちゃん〜乾杯!」

「「乾杯〜」」


修也は一瞬不思議そうな顔をしたが、すぐにいつものテンションの高い修也に戻った。

修也の「乾杯」の声と共に、みんなが酒が入ったグラスを持ち上げる。


恵里佳と美穂は、なんかテンション低いけど…

ま、どうでもいいや。




みんなが酒を飲んでる中…沙和はビールジョッキを持ちながら、ひとり出遅れている様子。



「乾杯」

「!」


沙和のジョッキに自分のジョッキを近づけてそう言うと、沙和も口パクで「かんぱい」と言って、ビールを飲み始めた。

そんな沙和を見て、俺もビールをグビグビ飲む。






「しっかし驚いたな〜…奏にこんなかわいい友達がいたなんて〜」


修也が沙和をじーっと見つめる。

沙和は修也に見られながら、愛想笑いを浮かべる。





「本当かわいいよなー」

「ね〜どこ住んでんの?」


「………」


フットサルの友達2人が、沙和に話しかける。

しかし沙和からの答えが返ってこないため、不思議そうな顔をする2人。





「一応言うけど…沙和は耳が聞こえないんだ」


タバコに火をつけながら、さらっと言う俺。