ーー『それでね…想像するんだ。きっとこんな声だ!って…そうするとね……不思議と奏の声が聞こえる気がするの。おかしいでしょ?私、耳聞こえないのにね』

「いや。おかしくはねえよ」

ーー『もし一つだけ願いが叶うなら…私、奏の声が聞きたいな』

ーー『バカ。そこは耳が聞こえるようになることを願えよ(汗)』

ーー『あ、そっか(笑)』


けらけらと笑う沙和を、俺はぎゅっと抱きしめた。

そして…





「愛してる」



沙和の耳元で、そうつぶやく。





ーー『あれ?いま…』

「え?」

ーー『なんか言ったでしょ?』

「…なんでわかるんだ?」

ーー『わかんない…でも…』

「・・・?」

ーー『なんか今…耳の奥がなんか違和感があったから』

「違和感…」

ーー『嬉しい…奏の声が聞こえたみたいっ』


ちょっと涙目の沙和。

俺はそんな沙和の頬に、優しくキスをした。


すると、沙和は唇を俺に近づけてくる。

俺は沙和の唇に、ちゅっと軽いキスをした…




ーー『ねぇ~今、私の耳元でなんて言ったの?』