君の声がききたい

そのあと俺は沙和と歩きながら、口の動きだけでの会話の練習をした。

そんなことをしていたら、あっという間に居酒屋に着いた。










がやがや


「いらっしゃいませ――」


居酒屋の店内は、結構混雑していてうるさい。




「あ、奏!」




奥の座敷の席から、修也が手を振っている。

俺は沙和に席を教えたあと、一緒修也たちの元へ…





「奏、お疲れ!………あれ?その子‥は・・」


座敷の席に向かうと、修也は俺の隣にいる沙和を見て、少し驚いていた。



「よぉ!奏」

「久しぶり〜あれ?誰その子!?かわいい〜」


座敷からフットサル仲間の男友達2人が出てきて、沙和をまじまじと見つめた。

沙和は軽くお辞儀をしたあと、俺の後ろに隠れる。




「なに〜?」

「“かわいい”って誰のこと?」


奥から、美穂と恵里佳も出てくる。

沙和を見た2人の顔つきは、一瞬にして変わった。





「まぁ…とりあえず座ろうか!」


修也が、俺と沙和の席を空けてくれる。

俺は沙和を先に座らせたあと、沙和の隣に座った。





トントン


腰を下ろしたあと、沙和の肩を叩いて呼ぶ俺。