君の声がききたい

車から顔を出して、虹に話しかける俺。





「おはよ!メール見た?」

「見たよー。返事しようと思ったら、着いちゃった」

「ハハ、そっか」


車から降りて、俺は虹の車椅子を押した。


虹と出会ってから、数週間が経ったある日曜日。

今日は虹と出かける日。

いわゆるデートってやつだ…




「捕まって…」

「あ‥い、いいよ!じ、自分で…」


車椅子に座る虹を、車に乗せようと抱きかかえようとしたら、虹は恥ずかしそうに拒む。




「いいから。…よっと」

「………」


虹をお姫様抱っこでひょいと持ち上げ、車の助手席に座らせる。


虹と顔が近い…

顔どころか…体が密着してる…




「ベルトしめてな」

「う、うん…」


助手席を閉め、車椅子をたたみトランクに乗せる。

虹は落ち着かない様子で、シートベルトをしめる。



緊張してんのか…

かわいいな…




俺はトランクを閉め、運転席に乗り込む。




「さぁ、どこに行きますか?」


シートベルトをしめながら、助手席の虹に話しかける俺。

虹はクスと笑った。