君の声がききたい

電車を降りて、虹の家に向かう途中…

車椅子を押す俺に、虹が話しかけた。





「そうなんだ…」

「うん…ずっと一人暮らししてみたくて……というか、早く自立したかったんだ」

「ふうん。えらいな」

「私の親、かなり過保護でさ。私の足…生まれつき不自由だったから……親は責任感じてか、特に母親は私にすごく依存したんだ…」


虹の足は、生まれつき不自由なんだ…


虹は続けた。





「そんな親といると…友達もろくにできないし、もうウンザリ。だから自立というより、親と離れたかったってゆうのが本音かな。私が散々だだをこねたら観念して、一人暮らしするの許してくれたんだ」

「そっか…良かったな」

「うん…って言っても・・住む家は親が用意してくれた、私みたいな車椅子の人が住みやすいマンションだけどね(汗)親をうざがっても…結局頼ってるんだけど」


フッと鼻で笑う虹。




でもそれは…仕方のないことだ。

虹の気持ちも…虹の親の気持ちもわかる。




「でも今が一番楽しい!毎日気楽だし。あ、ここがうちー」

「え…ここ?」


虹が指差したのは、結構きれいなマンションだった。





「もうここで大丈夫!送ってくれてありがとう」


マンションがある手前の道に来たとき、虹がそう言って頭を下げた。




「おう。じゃあ……あれ?携帯がない…」

「ウソ!?」