君の声がききたい

「暑ちぃな…」

「な。」

「かなり…」


まだ午前中だというのに…ジリジリと暑い。

セミはミンミンと鳴き、まさに“夏”という陽気だ。

修也と隼人は、さっき入り口でもらったうちわで、お互いを扇ぎ合っている。



うちわなんかの風で、涼しくなる暑さじゃねえぞコレ(汗)

着てくる服、失敗したかな…


今着ている服は、白いタンクトップに、紺色のシャツを羽織り…短パンにサンダル。



パタパタ。



隣にいる沙和が、そんな俺を見てうちわで扇いでくれる。



「お前、浴衣で暑くないの?」


沙和はハルちゃんと共に、今日は浴衣を着てきた。

沙和は水色と白のきれいな浴衣で、髪をアップにしている。

いつもと違う雰囲気の沙和に…ちょっとドキドキする。




――『暑いけど、平気!』


沙和はニコッと笑った。



沙和、全然汗かいてねえし。

うらやましいぜ。





「沙和…?」




すると…向こうの方から、車椅子に乗った子が、沙和の顔を覗き込む。

俺は気づいていない沙和の肩を叩き、その車椅子の子を指差した。



――『虹(こう)!』

「沙和――!」


沙和はその車椅子の子に気づくと、立ち上がりその子に抱きついた。