君の声がききたい

沙和は一瞬俺から目をそらしたあと…再び俺を見つめて言った。




――『あの子たちのこと…もう許してあげて欲しい…』

「――!」


意外な沙和のお願いに、俺は沙和から目をそらす。



「それは無…」

――『私は大丈夫だから。もう平気だし…』

「………」

――『私があの子たちの立場だったら…きっと同じことしたもん。だから許す。』

「沙和。それは…」

――『お願い…!』


ぎゅうっと、力強く俺の手を握る沙和…

そして…



――『もう…奏があんなふうに怒るところ・・見たくないの…』

「―――!!」

「……っ…」


沙和の目から涙があふれ出し、俺の手にこぼれ落ちた…

俺は泣いている沙和を、そっと抱きしめる…




「………ひく」

「…なんでお前はそんなにいい子なんだよ…」


もっといじわるでいいんだよ…

あいつらに仕返ししてやりゃあいいのに…


なんでお前はそうなんだよ…





「沙和…」

「……う‥ひく…」


泣いている沙和をゆっくりと起こし、ソファーに座らせる。

沙和は俺の胸でしくしく泣いている…