君の声がききたい

沙和は俺の言葉に、ちょっとだけ表情が明るくなる。



――『でも…今日はソファーに寝ろよ?その足で地べたに寝るんじゃ、立ち上がる時辛いから』

――『はーい…』


このソファーでかいから、寝心地悪くはないし…大丈夫だろ。


俺はソファーに沙和の寝床をつくり、ソファーのすぐ下に自分が寝る布団を敷いた。

そして沙和をソファーに寝かせ、テレビをつけたまま、リビングの電気を消す。

テレビの明かりだけになった部屋は、ちょうどいい明るさ。



「……っしょ」


ソファーに寝転がった沙和に、大きめのタオルケットをかける。

沙和は俺の方に体を向けながら、テレビをぼんやりと観ていた…




ぎゅ

「…!」


俺は床に敷いた布団にあぐらをかいて座り、沙和の方に体を向けて、沙和の手をそっと握った。

沙和はちょっとだけ、ニコッと微笑む…




「…足・・平気?」


タオルケットがかかった、沙和の足元をちらっと見て言う俺。
沙和は握っている俺の手を、一瞬離して手を動かした。




――『うん…湿布貼ったらだいぶ楽になったよ…』

「そっか…」


手を動かしたあと…再び俺の手を握ってくる沙和。



傷ついたうえに、

こんなかわいい仕草をしてくれる沙和を見て…

俺は更に胸が痛んだ…