君の声がききたい

ぬるくて少し冷たいくらいのお湯に当たる…


汗が流れて気持ちいい…

だけど心は晴れない…

沙和はもっと晴れないはず…



さっきの恵里佳たちのツラを思い出すと、怒りがふつふつと蘇る。


あいつら…沙和がいなかったら、確実にぶん殴ってた…


沙和に怪我させやがって…

一生許さねえ。


「ふぅ…」と息を吐き、気持ちを落ち着かせながら体を洗う。



…沙和の“声”初めて聞いたな・・・

初めて沙和の声を聞いた日が…今日みたいな日だなんて、マジで最低だ。


いつもは声を出さない沙和が、あんな声を出すなんて…よっぽどってことだよな…

「はぁ」とため息が出る。




沙和…

ごめんな…


もうひとりにはさせねえから…











ガチャ


風呂から上がり、着替えを済ませて、バスルームを出ると…



「!」


沙和がソファーに座って、湿布を足首に貼ろうといているところだった。

俺はすぐに沙和に駆け寄った。




「俺がやってやるよ。」


そう言うと…沙和はなにも言わず、俺にスッと足を出した。

俺は沙和の手から湿布を取り、沙和の足首の腫れている部分にそっと貼った。