君の声がききたい

カラン…

俺が胸ぐらをつかんだせいで、恵里佳の服のボタンが外れ、床に飛び散る…




「てめえ…ぶん殴ってやる…」


「ごめんなさいっ…許して!」
「私はやめようって言ったの!でも恵里佳が…」

「うるせえ!てめえら絶対許さねえからなっ!!」


拳を握り、恵里佳をぶん殴ろうとした時…



「〜〜〜っ」

「っ――!」


沙和が後ろから、俺を止めるように抱きついてくる。



「離せ沙和!こいつらお前に怪我させたんだぞっ」

「〜〜〜っ」


激しく首を横に振る沙和。


「俺は許さねえからな!一発ぶん殴って……」

「……ゃ…て!」



沙和…?



「か…で(奏)・・・ゃめ(やめて)……」


沙和は…必死に声を出してそう言って、うわんうわん泣き出した。

沙和の声を始めて聞いた俺…

声を発してまで俺を止める沙和を目の前にして…

恵里佳の胸ぐらをつかんだ俺の手の力は、スルリと抜けた…



俺は泣き叫ぶ沙和を抱きしめる…

恵里佳と美穂も…

なぜだか泣き始めた…




「本当ごめんなさい…」

「ごめんなさい…」


恵里佳と美穂が、泣きながら必死に声を出す…