君の声がききたい

俺は必死でガムテープをはがし、ドアが緩んだところで、力強く引っ張ってドア開けた。





「………沙和…」


ドアを開けると…

トイレ内の隅に、ひとりでうずくまっている女が…

俺はゆっくり近づいて、女の肩を揺らした。




「………っ」


すると女はビクッと反応し、うつむいている顔をガバッと上げる。



「沙和…」

「・・・っ」


その女は…やっぱり沙和で間違いなかった。

沙和は俺が来たことにびっくりしているのか、目を見開いたままだ…




「沙和…なにやってんだよ、お前…」

「……く」

「心配したんだぞ…」

「……うっ」


ボロボロと涙を流す沙和。

俺はそんな沙和を、力いっぱい抱きしめた…


沙和の首筋にキスをする…

沙和は肩を震わせて、少し声を出しながら俺の胸で泣いていた…



沙和に会えた安心感で…

俺も少し泣きそうだった…





「沙和…とりあえず出よう。立てるか?」

「〜〜つ!…」


!?

俺が沙和から離れ、沙和の腕を引っ張って立ち上げようとすると……

沙和は足をかばうような体制をとり、顔をひきつらせていた。