君の声がききたい

「え?」

「なに?」

「…今日あそこのトイレって‥行った?」


俺はトイレを指差した。




「ううん」

「行ってない」

「俺も……って、奏!?」


それを聞いた瞬間…

俺は気がつくと、トイレに向かって勢いよく走り出していた…


そして…






「沙和っ!」


迷うことなく、女便所に入り…ドアを一つ一つ開けて確認していく…



「………!」


すると一番奥のドアに、ガムテープが無造作に貼られているのを見つける。



なんだよ、これ…


俺はしゃがみこんで、下の少し開いているドアの部分から、中を覗いた。



「……っ!」


覗き込むと…見覚えのあるヒールを履いた、女らしき足が見える…



「沙和っっ!」


俺は勢いよく立ち上がり、ドアに貼られてたガムテープを次々にはがす…




間違いない…

沙和はこの中にいる!


手に絡みつくガムテープが、イラつく…



早く…

早く沙和を出してやりたい…