その小柄な子は、沙和の手話を見て、俺のことを理解した様子。


今のその子の反応を見ると…

沙和は俺が誰だか説明してくれたんだよな?






「私、沙和の小学校からの友達の杉山 遥(すぎやま はるか)です!」


その子は、俺にペコッと頭を下げる。




小学校からの友達…

俺と修也みたいなもんだな…






「よろしく。俺、奏ってゆうんだ…」

「奏くんね」

「“奏”でいいよ。えっと…俺は・・・」

「沙和とか他の友達からは“ハル”って呼ばれてるの♪だからハルでいいよ〜」

「わかった」


話しやすい子だな。




「奏くんのこと、昨日沙和から聞いてたんだよ。『携帯拾ってもらった』って…」




「そうなんだ…」


ちらっと沙和を見ると、俺とハルちゃんを交互でキョロキョロと見ている。

俺たちが何を話しているのか、気になっている様子…





「話してるところごめんね。沙和とここで待ち合わせしてたから…」

「いいよ。俺もう行くから…」


俺が椅子から立ち上がると、沙和はキョトキョトと俺とハルちゃんを見始める。

俺は立ったまま、ノートに《もう行くよ》と一言書いた。

沙和はそれを見て、笑顔で頷く。