君の声がききたい

そう言って、俺にぎゅっと抱きつく沙和…

肩が微かに震えている…




「…なに泣いてんだよ」


俺はポンと沙和の頭を撫でる。



沙和が泣いてる理由は、わかっていた。

一つしかない。

あのことだ。




「沙和」


俺は抱きついている沙和を、そっと離す…

沙和はしくしく泣いていて、涙を手で拭いていた…




――『…恵里佳のことだろ?』

「………!」


俺がそう言うと…沙和の表情が一瞬変わる…




――『そうだろ?』

「・・・・」


沙和はなにも言わず、俺から目を背けた…

俺は脱ぎ捨てたルームウエアを、沙和にそっと羽織る。




――『あの子はさ…』




鼻をすすり、俺から目をそらしながら沙和は手を動かす。




――『奏のこと好きなんだね…』


・・・・。


――『…みたいだな』

「!!」


ぺしっ



「いてっ」


俺をキッと睨んだと思ったら、沙和は俺の腕を思いっきりひっぱたいた。