君の声がききたい

沙和の手を引き、そのままレンタルビデオ屋で適当にDVDを借りた俺たち。

その間、沙和は元気がなく、あまり会話はなかった…

無理もない。




――『早く帰ってDVD観るか』


借りたばかりのDVDが入った袋を、沙和に見せる。

沙和は少し笑って頷いた…


気を使っている顔だ。

またこんな顔させちまった…


俺は沙和の手を引き、沙和のマンションに向かって歩く。

沙和は俺の手を握ったまま、なにも言わない。



完全にぶち壊したな。

恵里佳と美穂…マジでムカつく。


俺はもう‥今日は家に戻るつもりはない。


今、俺が帰ったら…

沙和が不安になるのは当たり前だ…


だから帰らない。

つーか、恵里佳たちがまだいるかもしれない家に帰りたくもないし。


今日は俺はソファーにでも寝て…

明日は、沙和が作ってくれた朝飯を食うんだ。


それがいい。うん。











ガチャ


沙和の家に到着し、玄関で靴を脱ぐ俺たち。



――『私‥お風呂入っちゃうね…』

「…!‥ああ」


家に入るなり、沙和は着替えを持ちバスルームへ入る。

俺は「はぁ」とため息をついて、ソファーにドカッと座った。