君の声がききたい

会った時から、ずっと気になってた。

沙和はタオル生地のバックの他に、大きめの手提げバックを持っている。



――『お弁当作ってきたの!』

「え、マジ?」


俺が驚いていると、沙和はちょっと照れたように頷く。





“――まもなく…電車が到着します・・”




――『電車来るよ』


アナウンスを聞き、沙和に伝えると…沙和は荷物を持ってベンチから立ち上がる。



「……!」


俺は沙和の、弁当が入った方の大きいバックを持つ。



――『俺が持つよ』

――『…ありがと』


俺たちは並んで電車に乗り込み、空いていた席に座った。






トントン




沙和が俺の肩を叩いて呼ぶ。


「ん?」

――『手話…どれくらい覚えた?』


俺は頭で考えたあと…なれない手付きで沙和に返す。





――『あと少しかな。ゆっくり手動かしてもらえば、なんとなくわかるんだけど…早くやられると無理(汗)』

――『そっか…』


少しがっかりする沙和。




――『なんで?早く手話覚えて欲しい?』

「……!」