「「うわぁぁぁっ!!」」

影の纏う暗黒の雲によって、すべての攻撃を跳ね返された。

「ク…フハハハハ…!!!!」

影は嬉しそうに笑う。

王国の騎士たちの攻撃がまったく効かないなんて、そんな…!!


「フフフ…フハハハハハハハ!!!!」

影は高笑いを残し、王女様を連れて北の空へと消えて行った。

「嘘だ…嘘だ嘘だ嘘だ……!!」

国王様は頭を抱えてうずくまる。

王国中から悲痛な泣き声が聞こえ始め、王女様がさらわれた悲しみが王国中を包んだ。


そしてその夜、国王様による、王国の人々全員へ話がされた。


「皆不安な1日であっただろう。そして今日、あの“エビル”と名乗る影に娘は…我が王国の王女はさらわれた」

国王様は静かに、一言一言を搾り出すように話していく。

「誰でもいい…どうか、どうか娘をあの暗黒の影から救い出してくれ!!褒美ならいくらでも授ける!!国王の座でも、一生の宝でも!!」

「「国王様…」」

「皆の者!!どうか王女を…我が娘をあの魔物から救い出してやってくれ!!」


“国王の座でも、一生の宝でも”

国王様はすべてを失ってでも王女様を救い出したいんだ。


「だったら俺が…!!」

「私も行くわ!!」


次々に名乗りを上げる人々。


「なら俺ぁ、最強の武器を作るぜ」

「「マイトさん!!」」


王国が、人々が、だんだん1つになっていく。


「もしも怪我を負ったら、俺の宿屋にいつでも泊まりに来てくれ」

「ダン…!」

「「助かるよダンさん!!」」


「フギャァァァ…!!」

カインはさっきからずっと泣き止まない。

王女様がさらわれたのに、カインも恐怖を感じてるのかな…??