14個の君の物語<短編集>

あれは一本の電話


「夏輝…ごめん。好きな人が出来たんだ」

父親も公認だったあたしの婚約者
向うがあたしのことほんとに好きだったか分からない…

もしかしたら、妹のように思われてた
たったそれだけ…

「真ちゃん、幸せ?」
「…幸せだよ。」
ーー…本当に嬉しそうな顔だったの覚えてる
* * *

あの時童話のお姫様のように良い子だったらあなたは行かないでくれた?
泣いたらもっと子供のような気がした…

「真ちゃんが…」
「桐谷っ!!」