「つ、翼が…」



「天使だから。な、お前の名前は?」



「え…」




彼…空は宙に浮きながら、私に問いかける。



これは、夢…なのだろうか。



それとも…



…現、実?




「わた、しは…、…日向、結、希」



「…結希、か。良い名前だな。よろしく、結希」




宙に浮いていた空は、段々と下にさがってきて、私の前に着地した。



空の足が地面についた途端に、翼の色が透明になっていて、やがて音もなくスゥっと消えた。



そんな中、微笑みながら差し出された手を、




「よろ、しく……、…そ、ら」




私は、そっと、握り返した。




…伝わってきた手のぬくもりが、温かくて。




『 これはきっと夢じゃない 』




…そう、思った。













――…これが、




私と、


空の、




出逢い、でした―――……。