涙混じりのその声を、美津は黙って聞いていた。 母の泣き顔は、何故か絶対に見てはいけない気がして顔を上げられなかった。 「ごめんね‥」 ぎゅ、と抱きしめられる。 嗚呼、これが最後なのだと、麻痺した頭でなんとなく思った。 「愛してる‥ あなたの幸せが、私の幸せよ…。」 最後の幸せな夜は、母の温もりに包まれながら眠りについた。