息があがる。

 どうにか、電車には間に合った。

 がたんかたんと車両が揺れる動きに、身体も揺れる。

 座れなかったから、冷たい手すりに身体を寄りかからせて、外を眺める。



「どうしちゃったのかな・・・」


 
 私、福田陽菜。

 気にかかっていることは、朝学校に一緒に行っている海老原光くんが三日前から姿をみせないということ。

 電車に乗っている間以外は、光くんと一緒に通学するのが、もう習慣みたいになってきていた。

 いつもは到着駅に着くと、自転車なのに、私より早く着いている光くんがいる。

 今日も、駅についてから、もしかしたらと、周囲に目を走らせてしまった。



 ・・・でもやっぱり、いない。

 

 落胆を隠せなくて、うつむいて歩いてしまう。