優しい子守唄

「なに一人で本なんか読んでんだよ。去年とやってること同じだなお前」

呆れたような苦笑いでそう言うのは、文斗の唯一の「友達」と言えるべき存在であり、去年も同じクラスだった相川恭介だ

今日も寝坊したのであろう
直す暇がなかったのか、茶色を帯びた少し長めの髪が四方八方無造作にはねている

「別にいいだろ、それよりお前…始業式くらい寝癖直してこいよ」

文斗は本に視線を戻し、ページをめくりながらそう言った