荒くなった息を整えつつ、立ち止まった。


やけに静かな空間に不安が募っていく。


「早く伝えないと…!」


宮野さん…無事でいてください…。



思い出すは数分前。

――――――

ドンッ


「す、すみません…。」

「あれ?チンチクリンの崎ちゃんじゃん。どっか用事?」


たまたま廊下でぶつかった。

スススッと太ももを撫でられ、ゾワッとしながらも教科書を抱き締める。


「あー。これから授業ねぇ…。サボっちゃえば?」


近い!

つい最近急に話しかけるようになってきた。

少しは慣れたとはいえ、まだ男嫌いは健在だ。