一歩 外に出てみる。 人影どころか、猫一匹 居やしない。 「ゆ…夢…。夢だろ…?」 僕は、脳に何度も何度も「起きろ」と指示した。 大抵、それで起きることが出来るからだ。 しかし、どうやら夢ではないらしい。 握った拳からは爪の跡が痛い程ついている。 ほっぺたをつねるなんてことはしない。 だが、そんな冗談も言っていられないようだ。 何しろ食料が無い。 これでは生きられない。 僕は、食料を求めて走り出した。 誰かが居るかもしれないという、ほんの少しの希望を乗せて。