その時に少し傷が痛んだが、表情には極力出さないようにする。 「寝るから、もう出て行ってくれ」 「………。では、何かあったら、呼んでくれ」 「ああ」 斎藤はそれだけを言い残し、部屋を出て行った。 襖が閉められると、室内に沈黙に流れる。 美桜里はじっと天井の木目を見つめた。 「あの芹沢という男…、私の正体に気付いているな…」 ふと芹沢の視線と言葉を思い出す。