「何故、刀なんか…」
「あれを斬ろうとしたんだよ…」
沖田が力無く指差す方には艶やかな黒い毛を纏った猫がいた。
「猫…?」
「うん。でも、無理だったけどね」
そういえば、黒猫を斬れば労咳よけになるって聞いたことがある。
まさか、総司はそれを信じて…?
美桜里はそっと彼を抱きしめた。
「美桜里…?」
「総司は大丈夫。また剣を握れるようになる」
病のせいで痩せた彼の身体は前よりもより細くなっていた。
それでも、身体は暖かい…。
すると、沖田は弱々しく腕を彼女の背中に回した。
大丈夫…、総司ならまた剣を握れるようになる。
美桜里はそう信じていた。



