「な、何でもない!ちょっと茶入れて来る!」
美桜里は土方の手を払い、部屋の外に飛び出した。
彼に触れられただけなのに、胸が高鳴っている。
こんなこと今まで一度もなかった。
「これじゃあ、まるで…、私が土方を好きみたいだ…」
廊下を走り、角を曲がると、誰かとぶつかった。
「のわっ!?」
しかし、力強い腕に引かれ、転ぶことはなかった。
「済まない。大丈夫か、川綵」
ゆったりとした口調の中に交じる意思の強い聞き覚えのある声。
美桜里はそれに違和感を抱き、身体を支えてくれている人物を見た。
そこにいたのは、此処にはあるはずのない人物の存在だった。



