その頃、美桜里は刀を支えに暗い夜道を歩いていた。
怪我が完全に治っていないというのに、服を着替え、屯所を飛び出して来たのだ。
今頃、藤堂が慌てて、土方達を呼びに行き、自分を探している頃だろう。
彼女自身、彼らには迷惑はかけたくないと思っている。
だが、これは美桜里が己でつけなくてはいけないけじめ。
だから、彼らには悪いが、己の欲を優先した。
「私も人間の血を引くだけあるな…」
彼女の指す人間とはおそらく、祖父のことだろう。
美桜里は自嘲気味に笑うと、ある一軒の屋敷の前で足を止めた。
庭先には彼女を待ち望んでいたかのように立つ桐生がいた。
此処は彼が住家として、会津公から拝借した屋敷だった。



