「…申し訳ございません」 泉羽はれっきとした鬼だ。 混血である桐生よりも彼女の方が上のはずだ。 しかし、泉羽は鬼の頭領であり、桐生の父である蘭に仕える忍びだった。 そのためか、彼女が桐生に仕えるのは必然的なのだ。 桐生は泉羽から視線を外すと、空を見上げた。 「私は…、俺は美桜里がこちらに来れば、良いのだ。たとえ、精神が壊れていようとも――」 人一倍妹思いなのにも関わらず、時に迷うことなく冷徹な決断をする。 たとえ、それが大切な妹だとしても――。