「当たり前だ。ようやく、美桜里を人間から引き離せるのだから」
桐生は彼女から煮魚を受け取ると、それを箸でつまんだ。
甘辛い味で煮られたそれは酒によく合う。
だから、ついつい酒も進んだ。
「ですが、些か強引だったのではありませんか?」
泉羽は言葉で桐生の箸が止まった。
「何…?」
急に桐生の声が低くなった。
おそらく、彼女の言葉が癇に障ったのだろう。
しかし、泉羽はそれに怯まず、言葉を続けた。
「いくら美桜里様が貴方様の言う事を聞かないとはいえ、あんな洗脳するようなやり方では美桜里様の御心が――、っ!?」
突然、酒で満たされていた猪口が彼女に投げられた。



