分からないと言えば、嘘になる。 しかし、確信とは言えない。 襟にかかるくらいの黒髪、やや吊り上がった緋い瞳――。 美桜里には一人しか思い当たらなかった。 「桐生…兄…様?」 美桜里は死んだはずの兄の名を呟いた。 「やっと会えたな、美桜里」 男は優しい笑みを美桜里に向けた。 それは昔見た兄――、桐生の面影にぴったりと重なっていた。